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麻疹(はしか)の流行状況と検査、ワクチンについて

各メディアから連日報道がありますが、海外で麻疹(はしか)が流行しており、国内でも感染者が増加してきています。
麻疹は麻疹ウイルスの感染によって起こる感染症で、空気中のウイルスを吸い込むことによる「空気感染」、咳やくしゃみなどのしぶきを吸い込む「飛沫感染」、「接触感染」等のさまざまな経路で感染します。

感染力はきわめて強く、コロナの3倍、インフルエンザの10倍とも言われており、感染した場合は90%以上の人が発症します。
感染するとおよそ10日後に発熱・咳・鼻水といった風邪のような症状が現れ、2・3日熱が続いたあと、39℃以上の高熱と全身に赤い発疹が出るのが特徴です。
麻疹が恐れられる理由は「感染力の強さ」と「合併症」にあります。感染力の強さについては前述した通り、「空気感染」を起こすため、感染者と同じ空間にいただけでうつってしまいます。

合併症については、麻疹全体の約30%に起こると言われており、その約半数が肺炎です。また、頻度は低いものの脳炎の合併例もあり、この二つの合併症は麻疹による二大死因となり、注意が必要です。また妊娠中の麻疹感染で流産・早産・死産を起こす確率が上がることも知られています。
インフルエンザなどと違って特効薬は無く、治療は対症療法になります。 

麻疹に対する免疫を獲得する方法は以下の2パターンです。
①麻疹にかかったことがある
②麻疹のワクチン接種を2回受けている
この2パターンしか麻疹に対する免疫を獲得することは出来ません。②については一般的に生涯に2回ワクチンを接種できていれば麻疹に感染することはほぼ無いと言われています。いつ接種したか覚えていない方は母子手帳を確認してください。麻疹ワクチンを2回接種できていることが確認できればまずは一安心です。(ただし、ワクチンの効果は30年程度で下がることがあるため30~40代くらいの世代の方は注意が必要です)

ご自身が免疫を獲得しているかどうか調べる方法が抗体検査(麻疹IgG抗体検査)です。
以下に当てはまる方は、検査を受けることが推奨されます。
·  過去の麻疹ウイルスワクチン接種歴が不明な方
·  1977年(昭和52年)以前に生まれた方 麻疹ウイルスワクチンは、1977年までは任意接種だったため、この年代の接種歴は人によって様々です
·  過去に麻疹にかかったことが明らかでない方
·  妊娠を希望する方や妊娠中の方 

検査結果でIgG抗体が2.0未満で陰性の方、抗体が陽性でも16.0未満の方については、「麻疹ウイルスに対して充分な免疫が無い」という判定になります。
当院で麻疹の抗体検査が可能です。費用は5000円となります。ご希望の方はご相談ください。血液を採取して結果が出るまでの期間は通常は5日間程度ですが、現在検査を受ける方が急増しており、検査会社の処理能力を超えてしまっているため、2週間程度遅延する可能性もあります。


麻疹ワクチン(麻疹単独のワクチンは無く、現在国内で使用できるのはMRワクチン=麻疹風疹混合ワクチン)は現時点で全国的に供給が不足しており、当院でも入手が困難な状況です。各種報道においても、ワクチン品薄のためまずは抗体検査での抗体価の確認が推奨されております。ご参考になれば幸いです。



 

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